いただいた授業への質問を。
おそらく、授業時間中には、時間に余裕がないため、ここに残します。
簡単に書きすぎているところがありますが、不明な点は、聞いてください。
Q. 腸溶性製剤
A. 放出制御型製剤の一つ。文字通り、胃で溶けずに、吸収部位である「小腸」で「溶ける」製剤。(大腸は水分の吸収。薬物の吸収は主に小腸で行われる)
胃で溶けないことの意味=デメリット回避
①胃粘膜障害性がある薬物の場合、回避できる【副作用回避】(例、アスピリン)(注)資料では NSAIDs を例に挙げていましたが、アスピリンが適切でした。
②薬物が胃酸の影響を受けない。胃酸で分解される場合に、それを回避できる【生物学的利用率の向上】(例、PPI)
Q. 第1類医薬品 ネット販売時の情報提供方法
A. 第1類医薬品の販売にあたっては、説明事項をチェックボックスをチェックする、必要な説明をメール等で行うことで、情報提供が行われます。
①(購入者→販売者)使用者の状況等の確認
②(購入者←販売者)使用者の状態等に応じた個別の情報提供
③(購入者→販売者)提供された情報を理解した旨等の連絡
④(購入者←販売者)商品の発送
①性別、年齢、症状、妊娠の有無等の確認‥「チェックボックスをチェックして、送信する」ような方法がとられる
②販売者から用法・用量などの説明、他に質問はないか、など
Q. トランスポーターとポンプの違い
A.
物質輸送の向き
・チャネル、トランスポーター:濃度の高い方から低い方へ
・ポンプ:濃度の低い方から高い方へ(実態に ATP 分解酵素を含むため、ATP を分解して得たエネルギーを使用することで可能にしている)
特徴
・チャネル、トランスポーター:濃度勾配に逆らうことはできないが、速い、大量に輸送
・ポンプ:濃度勾配に逆らった輸送が可能
Q. 血中濃度曲線
A.(薬物動態は、主に次回の内容のため、次回授業でフォロー)
Q. 放出制御型製剤の注意点
A. 調剤時の注意点
①名称確認
②割錠・粉砕不可
製剤特性を理解し、その特性が失われないように配慮が不可欠
Q. QUIZ の資料が欲しい。
A. すでに掲載しているので、リンク先からダウンロード、もしくは、Web テストを解いてみてください。
Q. 薬の名前や作用の覚え方
A. まずは、薬効分類ごとに重要な特徴をおさえておくと理解しやすいと思っています。
一般名は、覚え方がいくつかあります。「薬」「名前」「覚え方」とかで検索すると、語呂合わせなどは沢山でてくると思いますし、各論のところに少し載せています(が、若干薬学生向けかもしれません)。薬の名前は最重要なものから、押さえておくと良いと思います。例えば、ステロイドやインスリンは、看護師国試で最頻出の部類かと。
後は、現在の勤務先ででも、なんだろうと思った時に、記憶にとどめておいて、手の空いたときに調べる、この繰り返しが重要だと思います。私も、何度も、調べます。
Q. CYP
A. シトクロム P450(Cytochrome P450)
酵素の総称。主に肝臓で行われる代謝において、主要な役割を果たしている(ので超重要)。一部、小腸にも存在し、吸収の時にも、代謝されている。
略して、CYP と言われる。
CYP はさらにいくつかの分子種に分けられる。
影響を受ける薬物が多いものが、CYP3A4(シップスリーエーフォー)。
CYP における代謝は、薬物相互作用の要因にもなっている。
Q. トラフ値、定常状態 (質問が何を聞きたいのかがわかりませんでしたので、とりあえず、語句を説明します)
A. TDM のための採血時には、採血時間の指示が必ずありますが、それはなぜかを説明するために、触れました。(少し難しいかとは思いましたが)
・トラフ値
TDM では少ない採血ポイントで、血中濃度推移を予測します。予測精度を上げるために、薬物投与直前に採血指示があることがほとんどです(一部、頻回に採血する薬物もあります)。投与直前に採血した血液を測定した、血中薬物濃度を、「トラフ値」という(”谷”の意味)。投与直後は、ばらつきが大きいため、予測精度が一般的に悪い。
・定常状態
定義は示した通りですが。何回か薬を服用して、血中濃度が安定した状態とイメージするとわかりやすいかと。薬物を増量した後など、すぐではなく、数日してから、TDM の採血指示がでるのは、このためです。
Q. QT 延長
A. 心電図上の QT 時間の延長のことです。薬剤性の QT 延長として、マクロライド系や一部の抗アレルギー薬が原因薬剤となることが知られています。(心電図はどこかで習ったかなと思い、説明を略しました。失礼しました)
Q. 治験が男性のみの理由
A. 女性は生理周期の影響を受けるため、正しく薬効を評価するために、男性を対象に治験を行う。
また、次世代への影響をさけるため、男性を対象に行う(卵母細胞に影響が残る可能性が否定できないため)。
Q. QUIZ は定期考査の範囲に含まれるか
A. まだ、問題を作成していないので、正確な返答はできませんが。
要点に近いものを、過去問から抽出、もしくは、薬理の参考書から抽出していますので、重要な「要点」であること、過去問の問題そのままは定期考査の問題としては不適切と考えています、とだけ回答します。
・補足
ハーボニー事件
2017年1月に発生した事件。偽造医薬品が流通し、患者さんの手に渡りました。薬効を期待して服用しているのに、その薬は、まったく本来の薬効がないサプリメント類でした(毒物などではなく)。
本件は、日本国内における医薬品流通の信頼の根幹を揺るがすもので、薬剤師としては、重大事件でした。
通常は、新品の医薬品が流通していますが、中には、残薬を現金で買い取って、別のところに卸す医薬品卸売業が存在します。犯人がそのような卸売業者に、偽造医薬品(全く関係ないサプリメントを、本来の容器に入れたもの。薬剤の外観は全く異なる)を売り、それが次に流通したために発生した事件です。
(ニュースに触れると印象に残るかと思って、話題に出したものですので、当然、定期考査とは無関係です。あしからず)
Q. 5-FU
A. 代謝拮抗薬。
臨床上、関連薬も多く用いられています。関連薬とは、がん組織特異的に抗がん作用を示すように工夫されたプロドラッグ製剤や配合剤(他の組織で活性化されないように阻害剤を配合したもの)などが用いられています。
名称が異なることもあり、医療安全上注意が必要である。他院で以前に処方された他の関連薬を実は服用していたため、休薬期間が不十分だったことに起因する医療事故も発生しています。
Q. 白金製剤
A. レジメン名としては、CDDP と記載されます。
適応がん種は、教科書の通りに記載していますが、胃癌や非小細胞肺癌で主に用いられます。「全てのがん」というわけではありません。
Q. 化学療法
A. 微生物やがん細胞の増殖を阻害する治療法。「化学療法」=抗がん薬ではありません。感染症治療薬も抗がん薬も含まれます。
Q. 支持療法
A. 抗がん薬は、治療域と毒性域が近い薬剤であり、「副作用は起こるもの」を念頭に、十分な副作用対策=支持療法を行います。また、そのリスクは各薬剤によって異なるため、それぞれに必要な支持療法を行います。支持療法もレジメンで定めます。必要な支持療法が、確実に行われているかのレジメン管理に加えて、副作用症状のアセスメントが重要です。
Q. 抗がん薬投与
A. 基本的には、レジメンで、休薬期間や何回治療を行うと定められていますが、患者さんの状態に応じて、可否が判断されますので、治療完遂できないこと(A 療法を○周期行う予定だったが、変更、など)もあります。
Q. 細胞周期
(後ほど、きちんと回答します)
Q. 免疫抑制薬が治療に必要な慢性炎症性疾患患者が妊娠を希望する場合(催奇形性がある薬の使用と妊娠)
A. 潰瘍性大腸炎など、若年女性の罹患率が高く、妊娠希望を理解し、治療との両立が必要です。
①疾患が活動期にある女性患者に対しては、必要な寛解導入療法を行い、一定期間寛解状態の維持が確認された後に、妊娠が望ましい
②免疫抑制薬の中でも、比較的安全性が高い薬剤に置き換える
基本的な考え方は、以上。(簡単ですが)
従来、妊娠中に禁忌とされていたものが、見直されて、添付文書も改訂されたものもあります(タクロリムス、シクロスポリン)。これは、服薬した後に妊娠が判明した人の相談事例などを集めることで、見直しが行われたものです。(アザチオプリンは禁忌のまま)
Q. NSAIDs 例
A. ②ー❶、②ー❷に示されているもののうち、インドメタシン、スリンダク、ジクロフェナク、イブプロフェン、ロキソプロフェン、セレコキシブ、チアラミド
Q. 参考資料
A. スライド1枚目に、教科書と参考資料を示しています。ページ数のうち、黄色枠=教科書、緑点線枠=参考資料
自律神経系に作用する薬に関して(補足)
自律神経系は、全身で生命機能の維持のために、調節されています。そのため、自律神経系に作用する薬物は、全身に作用する可能性があるため、注意を払って使用する必要があります。臨床上、抗コリン薬の使用上の注意事項には遭遇する可能性も高い領域です。基本的な決まりを理解しておくと、それぞれの薬理作用や副作用のメカニズムの理解につながると思います。
Q. β1受容体とβ2受容体の違い
A. 神経伝達物質の受容体には、構造や機能が異なるサブタイプが存在しています。その結果引き起こされることは下記の通りです。
・構造が異なる→結合する薬物が異なる
・機能が異なる→引き起こされる細胞内応答が異なる
・局在が異なる→臓器によって、薬物の影響が大きい臓器、小さい臓器が存在する
β受容体については、β1受容体は主に心臓、β2受容体は主に気管支平滑筋、β3状態は主に排尿筋に存在して機能している。というように、局在が異なると理解しておくと、概ねわかりやすいと思います。(主要な役割は上記のため)
Q. NT
A. Neurotransmitter 「神経伝達物質」の意
Q. シナプスでの薬理作用
A. スライド12の通り。薬のよって、神経伝達を強める薬と弱める薬に大別できます。ごめんなさい、何が理解できないのかわかりません。
Q. コリン薬と抗コリン薬
A. コリン薬と抗コリン薬は反対の作用をするものです。また、交感神経系作用薬を加えるとそれぞれの作動薬、拮抗薬を加えると4通りづつ理解しないといけないように感じますが、アドレナリン作動薬=抗コリン薬、コリン薬=抗アドレナリン薬とすると、2通りになります。(そう考えると、少しハードルが下がりませんか?)
特に、抗コリン薬は臨床上で遭遇頻度が高いです。特に、抗コリン薬は手術前に確認が必要な事項に挙げた通りに、麻酔前投薬として、分泌液を止めるために抗コリン薬を用います。手術目的で入院する時に、術前の確認不足のため、手術延期など起こり得ますが、かつ、手術入院の場合は、薬剤部が事前になかなか確認できないケースも多いと思いますので、チーム全体で確認する必要があります。抗コリン薬の禁忌事項は、重要ですので、理解いただきたいところです。
Q. 復習の回答
A. Web テスト形式で掲載しています。ただし、過去問は、いろんなところに解説は流通していますので、基本的に、参考問題のみ、解説をつけています。ただし、回答送信後に、自分で選択した問題のみ解説が表示される仕様のため、対応は現在検討中です。
QUIZ 解説がまだ間に合ってません。近日中に。
Q. P91 のスライドがプリントに含まれていない。
A. 手元の資料をみると印刷されているように見えます。スライドはこちらにデータを置いていますので、よろしければ確認してください。(データが重いので、家などインターネット接続環境下で見ていただく方が良いと思います)
薬理学は、生命現象及びそれに影響する薬物の作用機序の詳細を説明しているところが、個人的に興味深く思っているところです。パズルのピースのように、細かい機序がぴったりハマって、生命を動かしているところが面白いです。もちろん、説明がつかない部分もあるので、そこを、できるだけ理論立てて考えるところも重要だと思いますが。
なかなか、薬理作用の詳細に時間を割けないところが、私としては、面白いところを割愛している感覚で、申し訳ない点です。
個人的に、集団を前にして沈黙が怖いタイプの人間ですので、なかなか待てません(改善せねばと思っていますし、改善します)。
QUIZ の回答時間は、「まだです」「ちょっと待ってください」と声をかけてもらえると助かります。また、誰かが質問をして、時間を稼ぐことも有用です。
資料は、事前に確認ができるように、Dropbox にも掲載して提供していますが、見れてますか?
テスト対策に関しては、何かと質問を受けることも多いのですが。
重要な部分を教科書から抜き出して、プリントを作成しているため、プリント全部が重要だというのが、本心であることは置いておいて。位置付けとしては、下記の通りです。出題範囲は、教科書全部。
・プリントで特に重要:Key point 表記
・重要なポイント:小テスト
・教科書で説明がなくても臨床上、必要:補足スライド
不明な点や誤字・脱字は、遠慮なく尋ねてください